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緑内障手術(トラベクロトミー)に関する説明

 

緑内障とは:緑内障は目の中の圧力(眼圧)によって視神経が障害され死んでゆく病気です。

大きく障害されると視野障害や視力低下をきたして失明に至ります。治療は点眼や内服薬、手術によって眼圧を下げて安定させることですが、治療したからといって治る病気ではないので生涯治療を継続することが大事です。

手術の名称「トラベクロトミー(線維柱帯切開術)」:目の中の水(房水)は眼内から線維柱帯という網の目をくぐってシュレム氏管を通じて眼外に出ます。線維柱帯の抵抗が増すと房水が通りにくくなり眼圧が上がってきます。薬物療法で眼圧のコントロールができにくくなった場合に、線維柱帯を切り開いてやり房水を通りやすくすることで眼圧を下げるのがトラベクロトミーです。白内障手術と併用すれば、眼圧下降効果が増します。術直後の出血による一過性眼圧上昇を抑えるために一時的に眼外に房水を出すシヌソトミー手術を併用することが多いです。眼内から電気的に切開する方法やチューブを差し込む方法、隅角に溜まったごみを除去するGonio Scrubも同じ種類の手術です。

 

手術によって期待される効果と限界:眼圧下降効果はそれほど高くなく、15~18mmHgに落ち着くことが多いです。手術時に出血するため一時的に眼圧が上がったり、視力障害が起こります。それ以外の合併症は少なく安全な手術ですが、眼圧下降効果は平均5年で消失することが多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

手術の合併症と危険性:

A.術中合併症

前房出血:ほぼ必発です。一過性に眼圧上昇と視力障害を起こします。

駆逐性出血(眼球内の急激な出血):手術によって眼球に切開を入れた時に高度の眼内の出血を生じるものです。非常にまれな合併症ですが、0.05%に起こるとされています。

発症した場合に失明する可能性もありますが、近年では硝子体手術によって治療できることも多いです。

B.術後合併症

感染症:まれな事ですが、手術後に眼内で細菌が繁殖することがあります(4000~5000例に1例)。抗生剤や硝子体手術で治療します。感染が高度の場合は視力障害が残ります。手術後は傷の周りの清潔を保つことが大事です。

角膜混濁:手術操作によって多少なりとも角膜には障害が及びます。しかし、もともと角膜が弱かったり、角膜に障害を与える病気がある場合や手術困難な症例では角膜機能が落ち、角膜が混濁することがあります。重症の場合は角膜移植手術が必要となります。

C.手術一般における危険性

手術にあたって使用する薬剤に対する予測不能なアレルギー、ショックが起こる可能性があります。また、全身疾患に起因する問題が生じる場合もあります。このような緊急時には医師の判断で患者様に最善と思われる対処をいたします。

 

以上緑内障手術(トラベクロトミー)に関しての説明を致しました。ご不明な点があればお尋ねください。

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