Retina Clinic
レチナクリニック横山眼科
あなたの「見える」を守りたい
緑内障手術(トラベクレクトミー)に関する説明
緑内障とは:緑内障は目の中の圧力(眼圧)によって視神経が障害され死んでゆく病気です。
大きく障害されると視野障害や視力低下をきたして失明に至ります。治療は点眼や内服薬、手術によって眼圧を下げて安定させることですが、治療したからといって治る病気ではないので生涯治療を継続することが大事です。
手術の名称「トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)」:薬物療法や房水流出路の再建手術では眼圧のコントロールができず、緑内障が進行してきた場合に房水が直接眼外(結膜【白目の粘膜】下)に流れ出る道を作る手術が行われます。当院が行っているSuture Canalization変法(横山レクトミー)もその一つです。その他にチューブを挿入する術式もあります。
手術によって期待される効果と限界:眼圧下降効果は高いものの、手術直後に眼球マッサージやレーザーによる糸切り、ニードリング(癒着剥離)などの処置が必要なことが多いです。成功してもブレブ(房水が流れ出て溜まっている結膜の水ぶくれのこと)の維持のために眼球マッサージやブレブ再建術を行ったりします。自然に起こる癒着のため5年間で50%は手術効果がなくなるといわれています。視力を上げるための手術でないため、手術により若干視機能は低下します。
手術の合併症と危険性:
A.術中合併症
前房出血:手術時に虹彩を切開した際に出血することがあります。一時的な視力低下を生じますが回復します。
駆逐性出血(眼球内の急激な出血):手術によって眼球に切開を入れた時に高度の眼内の出血を生じるものです。非常にまれな合併症ですが、0.05%に起こるとされています。
発症した場合に失明する可能性もありますが、近年では硝子体手術によって治療できることも多いです。
B.術後合併症
術後低眼圧:手術による効果が出すぎ、眼圧が下がりすぎることがあります。再縫合を追加することがあります。長期におよび、脈絡膜剥離や黄斑浮腫を生じ視機能がひどく低下することが予測された場合は硝子体手術を行うことがあります。
感染症:術後の最も危険な合併症はブレブ感染症です。これはブレブが形成され眼圧が下がった眼では手術の何年後でも起こりえますので注意が必要です(200例に1例)。手術直後に起こる場合と、しばらく経ってから起こる場合があります。抗生剤や硝子体手術で治療します。感染が高度の場合は視力障害が残ります。手術後は傷の周りの清潔を保つことが大事です。
術後痛:手術が成功するほど、手術創付近に時々鈍痛を感じることがあります。手術創下の毛様体の腫れのためだと考えられます。痛みが強い場合は内服薬で対症療法を行います。
角膜混濁:手術操作によって多少なりとも角膜には障害が及びます。しかし、もともと角膜が弱かったり、角膜に障害を与える病気がある場合や手術困難な症例では角膜機能が落ち、角膜が混濁することがあります。重症の場合は角膜移植手術が必要となります。
C.手術一般における危険性
手術にあたって使用する薬剤に対する予測不能なアレルギー、ショックが起こる可能性があります。また、全身疾患に起因する問題が生じる場合もあります。このような緊急時には医師の判断で患者様に最善と思われる対処をいたします。
以上緑内障手術(トラベクレクトミー)に関しての説明を致しました。ご不明な点があればお尋ねください。