Retina Clinic
レチナクリニック横山眼科
あなたの「見える」を守りたい
硝子体手術(網膜静脈閉塞症)に関する説明
網膜静脈閉塞症とは:網膜には栄養を運ぶ動脈と老廃物を輸送する静脈があります。
網膜は平面なので動脈と静脈はいたるところで交差しており動脈硬化などが原因で静脈が動脈に圧迫されて細くなった部分に血栓ができると血液の流れが悪くなって広範囲の網膜に出血を起こす病気を網膜静脈閉塞症といいます。
網膜の腫れを軽減したり、新生血管の発生を抑制する抗VEGF薬を硝子体内に注射したりステロイドを注射したり閉塞部分にレーザー治療をして治療しますが、薬物治療に抵抗するものや閉塞がひどく硝子体に出血するものは硝子体手術の適応になります。放置した場合、血管新生緑内障というたちの悪い緑内障を合併することがあり、注意が必要です。
手術によって期待される効果と限界:1回の治療では再発が多く、数回・1年くらいの継続治療を必要とします。閉塞した網膜血管は元には戻らないため視力・視野に障害が残ります。浮腫を引かせるために空気を入れることがあり、一日程度のうつ伏せが必要となります。網膜剥離を合併したものではシリコーンオイルが注入されます。網膜が復位したらシリコーンオイルの抜去手術を行います。
手術の合併症と危険性:
A.術中合併症
網膜裂孔:網膜の弱いところがあった場合、術前にほとんどは処置しますが、新たに裂孔ができることがあります。確率は300例に1例ほどです。生じた場合は手術中にレーザーで処置をします。
駆逐性出血(眼球内の急激な出血):手術によって眼球に切開を入れた時に高度の眼内の出血を生じるものです。非常にまれな合併症ですが、0.05%に起こるとされています。
発症した場合に失明する可能性もありますが、近年では硝子体手術によって治療できることも多いです。
B.術後合併症
低眼圧:傷口からの水の漏れが多い場合、眼圧が上がらず眼球にしわが寄ることがあります。治療しなくても大体は短期間で回復します。回復が遅い場合は傷を縫合します。
高眼圧:出血、炎症などで眼圧が上がることがありますが、ほとんどが短期間の点眼・内服治療で回復します。
硝子体出血:手術創や静脈閉塞部から少量の出血が起こることがありますが、ほとんどの場合早期に吸収されます。
網膜裂孔:網膜の弱いところがあった場合は術前に処置をしますが、新たに裂孔ができることがあります。確率は500例に1例ほどです。生じた場合はレーザーで処置をします。
網膜剥離:術後に網膜剥離を起こすことがあります。1000例に1例くらいの確率で起き、硝子体手術を追加して対応します。
飛蚊症:手術は目の中の硝子体をカッターで小さく切って吸引します。術後にわずかに残り飛蚊症の原因になることはありますが、異常ではありません。また、手術による炎症に起因する飛蚊症はガスがなくなって1週間ほどで吸収されて消失します。
角膜混濁:手術操作によって多少なりとも角膜には障害が及びます。しかし、もともと角膜が弱かったり、角膜に障害を与える病気がある場合や手術困難な場合に術後に角膜機能が落ち、角膜が混濁することがあります。重症の場合は角膜移植手術が必要となります。
感染症:まれな事ですが、手術後に眼内で細菌が繁殖することがあります(4000~5000例に1例)。手術直後に起こる場合と、しばらく経ってから起こる場合があります。抗生剤や硝子体手術で治療します。感染が高度の場合は視力障害が残ります。手術後は傷の周りの清潔を保つことが大事です。
C.手術一般における危険性
手術にあたって使用する薬剤に対する予測不能なアレルギー、ショックが起こる可能性があります。また、全身疾患に起因する問題が生じる場合もあります。このような緊急時には医師の判断で患者様に最善と思われる対処をいたします。
以上硝子体手術(網膜静脈閉塞症)に関しての説明を致しました。ご不明な点があればお尋ねください。